[書評]侠飯 話題のヤクザ×グルメ小説の人気の謎を探る

この前日本に帰った時、電車の吊革広告で「侠飯(おとこめし)」が宣伝されていて、Kindleで買ったままになっていた小説を思い出し、帰星するや否や早速読んでみました。テレビドラマ自体に興味がないので、この小説もちょっとバカにしていたのですが、読んでみると案外面白く、どんどん世界観にハマってしまい、気がつくと深夜まで読み続け1日で読み終わっていました。

まさに抜け出せなくなる面白さ。恐るべし。

ドラマは誰が出ているんだろうとWikipediaで調べてみたら、この前逮捕されたばかりの高畑裕太が出ていたんですねぇ。それに伴ってテレビ局は放送を自粛しているとか。(それもまさに今週!)思ったより旬な小説だったようです。芸能界の事は全く興味ないので書きませんが、今回はそんな旬な小説を紹介します。

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あらすじ

久々のBookレビューで何から書き始めていいのか分かりませんが、とりあえずAmazonからあらすじをコピーしておきます。

職活動に悩む大学生・若水良太は、ヤクザどうしの銃撃戦に巻きこまれ、組長の柳刃竜一が部屋に居座ってしまう。居候の柳刃はお取寄せが趣味でキッチンを占領しては料理を作り、恐怖と美味に混乱する良太。そこに同級生たちも加わって事態は予想外の方向へ!まったく新しい任侠×グルメの異色料理小説。文庫書き下ろし作品。

Amazonより

グルメ×ヤクザ

ヤクザ。それは包丁を持つのはキッチンの前より、人の前の方がよっぽど似合う特異な稼業の人達です。この小説を簡単に言ってしまうと、そんな料理の似合わないヤクザが料理する意外性を楽しむ小説です。しかし物語の意外性だけで本が売れる程に読書界は甘くありません。この小説が面白いのには、別のところに大きな理由があります。

大きな理由の一つが、世の中を悟ったかのようなヤクザのアドバイスです。大学生である主人公の若水良太の部屋に居候しているヤクザ柳刃竜一は身分を隠すため、良太の友人に対しては良太の叔父という事にしています。料理が上手で物静かな叔父の役です。本当は叔父というよりも叔父貴という方がよっぽど似合うのですが、この人が演じる叔父の役が良い役をしているんです。受験に悩む良太の女友達に対してのアドバイスは適格で、修羅場を多く潜ってきた人間の凄みを感じます。料理とは関係のないところで魅せるそんな一場面が、この小説をより一層面白いものにしています。

最初、グルメ×ヤクザと聞いて、意外なものをくっつけただけだろうという歪んだ見方をしてしまっていたのですが、グルメとヤクザには意外な共通点があるんですねぇ。それは、「丁寧に生きるという事」。一日一日を死ぬか生きるかで過ごしているヤクザの人にとって、その日を丁寧に過ごすことは大切なことです。そしてその姿勢で台所に立った時にヤクザは料理人になるんですねぇ。

柳刃竜一が料理をするときは本当に丁寧です。米の洗い方からすすぎ方、その時に使う道具やタイミングまで細かに説明します。これが意外とマッチしていて、とてもいい。カッコイイんです。小説ですから、そのキャラクターを頭に思い描いてもそれが頭の外まで出てくることはないのですが、なんてったって、かっこいい。この愛着が沸くキャラクターが、小説を一層面白いものにします。

柳刃竜一というキャラクター

私のブログには既に何度も出てきている本ですが、米原 万里の「打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫) 」という書評本があります。この本の中で、イン・ザ・プール (文春文庫)という奥田 英朗の本を絶賛しています。私も奥田 英朗のイン・ザ・プールを読みましたが、なんとなく侠飯はイン・ザ・プールに似ている気がします。イン・ザ・プールでも伊良部という強烈なキャラの精神科医がいて、そのキャラクターを主人公の一人称で捉えます。物語の本筋とは関係のないところで、現代人の心理のようなものを読者に気づかせてくれるそんな小説。

この侠飯という小説も主人公(若水良太)の一人称で語られていますが、2作目は主人公が変わります。違う主人公からみた柳刃竜一はどのように描かれているのか、もしかしたら別の一面も魅せてくれるのではないかという期待をさせてくれる2作目です。

物語のオチ

さて、話は一作目に戻りますが、この物語がどのように終わるのか、それは最後まで予想ができませんでした。テレビドラマが続行中という事で、毎週楽しみにしている人もいるだろうからここには書きませんが、意外な結末です。うまくまとめたなと思う反面、2作目があるとなるとどうやって繋がっていくのだろうと気になるところ。福澤徹三という作家は始めて読みましたが二作目も読んでその実力や如何にという所を見てみたいです。

今回の投稿では触れませんでしたが、既に三作目まで出ているようです。シリーズ物はハマると抜け出せなくなるのが怖いですが3作だけなら問題なさそう。とりあえず、全部買っておきました。笑

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