[映画]めぐり逢えたら / めぐり逢い (古い映画へ遡る映画の楽しみ方)

映画通っぽく振る舞うためには、昔の映画を見ることだ。

なんかインチキくさい出だしになってしまいましたが、今回は、『まずはちょっと古い映画を見て、そこを足がかりに、もっと古い映画を見る』という映画の見方を紹介したいと思います。

まず、めぐり逢えたらという映画があります。オリジナルのタイトルはSleepless in Seattle。この物語の主人公は、ある事がきっかけでラジオに出演する事になるのですが、その時のラジオネームがSleepless in Seattle。洋題のSleepless in Seattleは、このラジオネームから取ったタイトルなのですが、シアトルの眠れぬ男みたいなイメージでしょうか。ですがこの物語を語るには、邦題のめぐり逢えたらの方がしっくり来る気がします。それは、この恋物語は、主人公とヒロインの巡り合うまでの様子を描いた映画だからです。二人の恋仲を描くロマンスではなくて、二人がどのように惹かれていくかを描いたロマンスなのです。今回はこの映画をとっかかりにスタートしていきたいと思います。

めぐり逢えたら (Sleepless in Seattle)
監督        ノーラ・エフロン
脚本        ノーラ・エフロン
出演者        トム・ハンクス
メグ・ライアン
日本公開    1993年12月11日
上映時間    105分

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あらすじ(めぐり逢えたら)

シカゴに住む建築家のサムは、癌で妻を亡くしたばかり。その後サムは一人息子のジョナと共にシアトルに越してきたが、ジョナは、落ち込む父親のために新しい奥さんが必要と、あるラジオ局の相談番組に電話をする。同じ頃、ボルチモアに住む新聞記者のアニーは、婚約者ウォルターを伴って実家のクリスマス・パーティに出席していた。その帰途、偶然聞いていたラジオの相談番組で、“シアトルの眠れぬ男”サムが切々と語る亡き妻の思い出に、アニーは思わず涙する。そして見ず知らずの彼に、アニーは心惹かれていく。
Wikipediaより引用

Wikipediaのあらすじをそのまま引用したのですが、これはあらすじというかイントロダクションですね。ネタバレを懸念して控えめに出ている著者の心が透けて見える文章です。

ということで私が少し補足します。

ラジオで素直な気持ちを語るサムに惹かれたアニーは、婚約者ウォルターとの満ち足りた現実に疑問を抱き、理想の相手(顔も知らない現実のサム)に惹かれます。サムは空港で一目ぼれした名前も知らない相手アニーに惹かれます。そして運命は、すれ違う事のないはずだった二人をエンパイアステートビルの屋上に導きます。冒頭でも書きましたが、この映画は二人の恋仲を描くロマンスではなくて、二人がどのように惹かれ、どのように運命によってめぐり逢うかを描いたロマンスなのです。それぞれの男女の一人称の紆余曲折を楽しむ映画です。

ユー・ガット・メール

少し今回の趣旨から話が逸れてしまいますが、「映画の楽しみ方」を伝えるために、敢えて大きく脱線します。

ユー・ガット・メールという傑作映画があります。街の小さな本屋さんと大型書店の経営者どうしが(匿名のメールを通した出会い系サービスを通して)恋に落ちるロマンスです。実はこの映画、脚本・監督ノーラ・エフロン、主演トム・ハンクス、メグ・ライアンの組み合わせで、今回紹介するめぐり逢えたらと同じ組み合わせなのです。

ユー・ガット・メール(You’ve Got Mail)
監督     ノーラ・エフロン
脚本     ノーラ・エフロン/デリア・エフロン
出演者   トム・ハンクス
メグ・ライアン
日本公開    1999年2月11日
上映時間     119分

ユー・ガット・メールは、めぐり逢えたら (Sleepless in Seattle)からわずか6年後の作品ですが、少し大人になったトムハンクスとメグライアンを楽しめます。ビフォア・サンライズのシリーズでリチャードリンクレイターが提案した、俳優が実際に年を取った様子を見るという楽しみ方で映画を見るというのも面白い見方です。

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そして、もっと古い映画へ遡る

話を本筋に戻しましょう。今回のテーマは『まずはちょっと古い映画を見て、そこを足がかりに、もっと古い映画を見る』ということでした。

すでにちょっと古い映画(めぐり逢えたら)は見ました。つぎは、もっと古い映画(めぐり逢い)にいってみましょう。

めぐり逢い(An Affair to Remember)
監督      レオ・マッケリー
脚本      レオ・マッケリー/デルマー・デイヴィス/ドナルド・オグデン・ステュワー
出演者    ケーリー・グラント
デボラ・カー
日本公開    1957年10月22日
上映時間    119分

あらすじ(めぐり逢い)

プレイボーイの画家ニッキーはオーシャン・ライナー乗船中にテリーと出会う。お互いにすでに婚約者がいながらも、恋に落ちる二人。6か月後にエンパイア・ステート・ビルディングでの再会を約束して二人は別れる。
婚約者と別れ、約束の日、ニッキーはエンパイア・ステート・ビルディングに向かい、閉館までテリーを待ち続けるが、テリーは現れなかった。実はテリーは約束の場所に急ぐ途中で交通事故に遭ってしまっていた。
テリーの怪我の状態は深刻で、この先車椅子での生活を余儀なくされることになる。ニッキーの重荷となりたくないと思ったテリーはニッキーとの再会を諦める。
Wikipediaより引用

あらすじには書いていないのですが、この映画のもっとも大事なポイントは、ニッキーもテリーもヒモだということです。船の中でお互いに惹かれあってしまった二人ですが、お互いに婚約者がおり、その婚約者はお互いに金持ちです。そして当人のニッキーとテリーは自分で稼ぐ能力がありません。そんな二人の恋愛なのです。

この映画の最大の見せ場は、クリスマスの日にいきなり訪ねてきたニッキーに対して、テリーが自身の怪我を隠すシーンです。テリーはニッキーの事が好きだけど、怪我をしている(歩けない)身ではニッキーを不幸にしてしまうと思い、必死に”その気”がないフリをします。そのシーンがなんとも泣かせます。

そして、このシーンについては先述のちょっと古い映画(めぐり逢えたら)にも出てきて、そのシーンの是非を語るシーンがあります。オリジナルの映画を知っていると、自分の意見を持っているので、より楽しむ事ができます。

両方の映画を見ての感想

もっと古い映画の『めぐり逢い』は文句のつけようがない傑作です。

そして、今回ちょっと古い映画として出しためぐり逢えたらの面白いところは、『めぐり逢い』を多数サンプリング(引用)しています。

先に挙げた感動的なクリスマスのシーンのみならず、よく聞くとそのテーマ曲すらも引用されています。ストーリーをとっても、『めぐり逢い』では遂に出合う事の出来なかったエンパイアステートビルの屋上が『めぐり逢えたら』の物語の終着駅になります。これは、サンプリング元を知っているのといないのでは、全然楽しみ方が違います。

こういうサンプリング元に遡って楽しむ嗜好は、ヒップホップの楽しみ方に似ています。

読書は音楽に似ている。新書を読むことは、つまりヒップホップだ。
今回はちょっと変わった話題です。最近音楽の事を書こう書こうと思いつつ、あまり自分自身が音楽の歴史に詳しくないので、どのようなタッチで書けばよ...
『読書は音楽に似ている。新書を読むことは、つまりヒップホップだ。』 でも書きましたが、ヒップホップはサンプリングの文化です。読書も然り、映画も然りで、同じ楽しみ方が出来ます。サンプリング元を知ることでその映画をもっと楽しむ事が出来るし、サンプリング先に遡る事で古典の知識を得ることが出来ます。これこそが、今回伝えたかった楽しみ方なのです。

さて、如何でしたでしょうか?

私の伝えたかったこと、少しは伝わりましたでしょうか?今回は映画のレビューというよりも、映画の楽しみ方という視座で映画を見てみました。みなさんも、商業用のつまらない最新映画だけではなく(もちろん新しい映画にも素晴らしい作品はあるし、古典の中にも商業用のつまらないものもあるのだけれど)、中身のある古典的な昔の映画を、系統的に楽しんで頂けたら幸甚です。

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