タクシードライバー 40年前の名作映画を(勝手に)解釈 TaxiDriver

先日紹介した映画館The projectorにてロバートデニーロ主演のTaxiDriverが公開されると知って、早速Google Playでレンタルしてみたことを書きました。

シンガポールにある映画好きのための通な映画館 The Projector

この映画を見てからというもの、映画の雰囲気は良かったのだけれど、一体何を言いたかったのだろうという事がよく分からず色々と考えました。幸いにも今日は、仕事からもネット環境からも隔離された邪魔が入らない時間を取る事が出来たので、頭の中で整理する事ができました。今回は、TaxiDriverという映画から私が感じ取ったことをレビューしていきます。

タクシードライバー (Taxi Driver)

監督:マーティン・スコセッシ
出演者:ロバート・デ・ニーロ
シビル・シェパード
ハーヴェイ・カイテル
ジョディ・フォスター
アルバート・ブルックス
アメリカ公開:1976年2月8日
日本公開:1976年9月18日
上映時間:114分

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あらすじ

いつもWikipediaやAmazonから適当にあらすじをコピーしてくるのですが、今回は自分の言葉で書きます。

物語はロバートデニーロ演じる不眠症の青年がタクシー配送会社の面接をするところからはじまります。夜も眠れない青年は、深夜の時間をタクシードライバーでもしようと考えました。タクシードライバーの仕事を通して出合った、ある2人の女性との関わりを軸に物語は進んでいきます。一人はとびきりきれいな女性で大統領候補の選挙事務所で働いています。もう一人は若かりし頃のジョディフォスター演じる12歳半(本当かな?)の家出少女。マフィアに雇われて売春をしています。このふたりとの出会いを機に、青年は平凡なタクシードライバーでは満足できなくなり、何か違う者になりたい、何か行動を起こしたいと思うようになっていきます。そこで青年の取った行動とは?

ネタバレしない程度にあらすじを書くと、こんな感じでしょうか?ここから先はネタバレ有りで、物語を考察していきます。まだ見たことの無い人、これから映画を観ようと思っている人はこの先を読むより前に映画をみてください。既に映画を見たことのある人は、一緒に映画を振り返っていきましょう。

掴みどころのない青年

ロバートデニーロ演じる主人公は、いまいちパッとしない不眠症の青年です。どこにでもいそうな平凡な青年が(当時のアメリカでは)平凡な職業のタクシードライバーを演じるのですが、ロバートデニーロがこの役をうまく演じます。現状に満足していないような、何か心の中に持っているような、現代風に言えば心の中に闇を持っているようなキャラクターです。おそらく誰しも一度は思春期にこのようなモヤモヤした気分を味わったことがあるはず。大人になってからも思っている人は多いかもしれません。(私はおそらくそのうちの一人です。)

大統領選挙事務所の女性がとの出会い

さて、そんな青年が求めていたのは、“きっかけ”です。あらすじにも書いたように青年はある女性に一目ぼれして、声をかけます。この女性は大統領選挙候補の選挙事務所で働く女性で、大統領をいかに当選させるかの仕事をしています。この女性に出会ってから青年は外の世界に出ていきます。女性が応援する大統領候補をタクシーに乗せたことで、今まで全く興味がなかった政治に興味を持ち、大統領にも興味を持ちます。
女性との関係はというと、うまくお茶をするまでは事が運んだのですが、その次がいけなかった。お茶の次は映画に誘ったのですが、その映画がなんと悪趣味なポルノ映画。青年はポルノ映画を劇場で見るのが好きだったのです。これには女性も幻滅してしまい、途中で帰ってしまいます。そして次の日から全く釣れなくなってしまうのです。

売春婦の女性との出会い

最近では売春婦というと差別を表すとか何とかで、コマーシャルセックスワーカーなどと言うことがあるそうですが、ここでは映画の通りに売春婦という言葉を使います。
青年が次に出会ったのは売春婦の女性です。マフィアの牛耳る危険な地域で、女性をタクシーに乗せたのですが、女性は緊迫した声で「いいから逃げて!」とドライバーを急かします。訳が分からず戸惑っていると外から男が引っ張って女を連れ戻します。そして何でもないんだと助手席にクシャクシャの20ドルを放り投げます。
これが次の青年にとって2番目の“きっかけ”となりました。いい大人(マフィア)が少女ともいえるくらいの年齢の女性を使って金を稼いでいるところを見て青年は正義感を強めます。女性を買うふりをして一緒にホテルに入り、女性を連れ戻そうとします。しかし女性は好きでここにいるのだから勝手に連れ出さないでと拒否します。またもや女性にフラれてしまい、青年は混乱します。最後にクシャクシャの20ドルで支払って帰ります。

この女性の役を若いジョディフォスターが見事に演じています。彼女の演技は映画の中でも光って見えます。(喫茶店で緑のサングラスをかけてトーストにベッタリチョコレートを塗って、少しだけかじるシーンが当時のアメリカを象徴しているようで大好きです。)

ふたりの女性が象徴するものと青年の心情の変化

さて、先述した二人の女性との出会いで何を感じたか。それは独りよがりの正義感です。
表の世界を象徴するような政治のトップとそれを応援する女性。そして裏の世界を象徴するようなマフィアとそれに使われる女性。この二つの世界が微妙なバランスで重なります。何か行動をしたい男性は自分の体を鍛え(拳をコンロで訳シーンは大藪春彦の小説に出てきそうで印象的)、体を武装し(殺し屋イチのようなねじれた武装)、来る日に備えます。

普通は標的があったうえでの武装ですが、誰が標的なのか明確に描かれずにその日が訪れます。気合を入れてモヒカン頭にして向かった先は大統領。たくさんのSPが護衛しているために銃を手にした瞬間気づかれてしまいます。逃げ帰ってきた青年はマフィアのもとに向かいます。そしてマフィアを殺すことで一躍ヒーローになってしまうのです。

あれ?大統領候補を殺そうとしていたのに、なんでいきなりヒーローになっているの?と戸惑いますが、ここで表現されているのは善悪の裏表なのだと思います。人が正義感を発揮した時、その矛先が少しずれれば凶悪な犯罪者だし、また少しずれれば英雄になる。さらに権力者だって善悪は裏表です。アメリカを代表する善良な市民であるはずの大統領が一番の悪かもしれないし、マフィアは売春婦を囲う事で女性を生かしているのかもしれない。青年の行動からはそういった善悪の裏表が見え隠れしてきます。

映画を通して伝えたい(であろう)事

これまで自分が感じたままにこの映画を好き勝手に分析してきましたが、分かった風に勝手にまとめます。

さきほど上げたように、物語を通して青年の行動を追ってみると、世の中の善悪がまじりあい、何が善で何が悪かが分からなくなってきます。これこそが主人公の青年が感じていたことで、その正義感はあまりに強く、あまりに一方的で単純に肯定するには躊躇してしまうような正義です。ですが青年からしたらそれが正義。ロバートデニーロが演じるとその偏った正義感が狂気として瞳の中に現れます。

さて、この背景から映画が伝えようとしていることを読み取っていきたいと思います。それは青年の目的から読み取ることが出来ます。

悪は明確に示された。それから青年の取った行動はというと、どちら(大統領もマフィアも)の場合も、権力から女性を解放するという行動です。表の世界と裏の世界の二人の女性は、どちらも権力に束縛されたマリオネット。自分の意志では行動出来ていないのです。ここがポイントだと思います。最初は表の世界の権力に束縛された女性を解放しようとして失敗し、そのすぐ後には裏の世界の女性を解放しヒーローになります。一歩間違えれば極悪人になっていたところですが、結果ハッピーエンドのように思います。しかし、これハッピーエンドでしょうか?その答えは最後のシーンが握っています。

たまたま選挙事務所の女性を客として載せた青年は、選挙の近況を聞き、彼女に勝つことを望んでいると伝えます。一度は殺そうとした大統領候補の勝利を望むと言っているのです。そこは大きな矛盾があります。さらに、最後に女性が運賃を聞くシーンに対して、何も言わずにうなずいただけで去っていきます。とても印象的なシーンです。このシーンから私が受け取ったイメージは、彼女を解放することが出来なかった青年の後悔です。売春婦の女性を解放することはできたけど、選挙事務所の女性を解放することはできなかった。私はここに善悪の裏表を見ました。

マフィアを殺して女性を解放することでヒーローになる事が出来た。しかし選挙事務所の女性を解放することはできなかった。しかしもし最初の作戦が成功していたら、凶悪犯罪者になってしまったが、選挙事務所の女性は解放され、売春婦の女性は解放されずにつかまったままだった。つまり、この映画で言いたかったことは、善悪の裏表。どちらかを立てればどちらかが立たず、物事の裏には必ず反対の事象が付きまとうという事ではないでしょうか?最後のシーンでジャズとともに街中を流すタクシーのバックミラーから見える街並みはそんな矛盾に満ちた世界を表しているような気がするのです。

さて、如何でしたでしょうか?私の解釈を淡々と書いて来ましたが、映画をどう解釈するかなんて人によって千差万別です。異論のある方、納得してくれる方、コメントしてくださると幸いです。

ちなみにこの名作映画は今でも普通に見れますが、なんとこれ、40年前の映画なんですね。40周年を記念した特別なバージョンもあるようなので、欲しくなってしまいます。気になる方は是非見てみてください。

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