肉骨茶考 牛タンの名門利休のテールスープからシンガポールのソウルフード・バクテーを考える

この事をブログに書こうと思いたったのは、先週末、急な用事で仙台に帰ったときに利休でテールスープを飲んだ時だ。急に思い立った。牛タンは勿論だが、テールスープがとにかく旨いのである。

TailSoup

利休といえば牛タン激戦区として名高い仙台の中でも王座を争う名店で、東京に支店も出しているためご存知の方も多いと思う。私は仙台に行ったらとにかくここの牛タンを食べたくなる。他も旨いと言われる店を幾つか試したがどうも物足りず、やはり利休の牛タンを食べなければ仙台に来たとは言えない。それほど利休の牛タンを溺愛している。これはきっと意固地な私の性格から言っても偏見に満ちた見方で、他にも旨い店はあるのだと思う。だけどこれだけはしょうがない。利休に行かなければ仙台に立ち寄ったことに満足できないのだ。

それはいい。今回書こうとしているのは牛タン考ではなく肉骨茶考、肉骨茶(バクテー)についてである。

BahKutTeh

中国語で肉骨茶、日本語でバクテー。これは豚のスペアリブをハーブとニンニクで肉が柔らかくなるまで煮た料理である。マレーシアの肉骨茶とシンガポールの肉骨茶は大きく異なり、素人の目で大雑把に違いを述べると、マレーシアのものは漢方が豊富で、それらを巧みにブレンドしてあり、複雑に旨い。シンガポールのものは、ニンニクと胡椒に頼り切っていて病的に辛い。確かに旨いのだが、とにかく辛い。こういうとシンガポールの肉骨茶を酷評しているようだが、そうではない。実際にはシンガポールの肉骨茶は大変人気があり、ガイドブックにはチリクラブとチキンライスと同列にシンガポールの名物として取りあげている。私も最初食べたときにはその強烈な胡椒とニンニクのパンチに閉口してしまったが、何度か通ううちに癖になり、病みつきになってしまった。観光客に違わず、ローカルたちも肉骨茶を求めている。確かにシンガポールの肉骨茶にはそういう癖がある。だから私もこれがシンガポールのソウルフードであることは認めている。

説明が遅れたが、正確にはシンガポールの肉骨茶(バクテー)の大多数は潮州(Teochew・ておちゅう・ちょうしゅう)風で、本場マレーシアのものとは風味が全く別物だ。マレーシアの肉骨茶は福建もしくは広東風と言われている。

そんなシンガポールのバクテーを不満に思いながらも、一度沸いてしまった愛着は振り払えず、その胡椒とニンニクの刺激を求めて二月に一度くらい、たまに肉骨茶が食べたくなり有名店ソンファーに足を運んでいた。言わば生活の一部となり、自分の一部となっていた。

それが利休の牛タンスープを飲んで、目が覚めた。まさにそれが今回この記事を書こうと思った理由である。久々に口にした利休のテールスープは繊細で、それでいて複雑、一体としての存在感があり、まさに極みに達していた。見た目を彩るのにも一役買っている白髪葱は、その触感も楽しく、肉の脂で疲れるはずの味蕾を休めるためには申し分ない。シンガポールに長く住み、日本の味の方が珍しくなってしまった昨今、同じ肉を長時間煮込んだスープなだけに、どうしてもこのテールスープと肉骨茶を比べてしまった。シンガポールの肉骨茶は、ニンニクと胡椒に頼りすぎる。その肉がなんであろうと、ニンニクや胡椒の産地がどこであろうと、その分量がなんであろうと強引に中毒に浚っていくブルドーザーのようである。それはそれでいいのかもしれないが、繊細さを愛する日本人としては、やはりテールスープに采配を挙げたくなる。

ジャカルタにホテルボロブドゥールという有名なホテルがあり(ホテルの名前からして紛らわしいのだがジョグジャカルタではなく、渋滞とモールで名高い、現在の首都の方のジャカルタ)、ここのレストランのテールスープは特別旨いと名高い。私も一度試したことがあるが、確かにそれは絶品だった。テールスープはインドネシア語でソプ・ブン・トゥットゥという。ジャカルタに行ったら是非試して頂きたい。ここのスープも繊細さにかけては肉骨茶よりも秀でていると思う。牛のテールを野菜と一緒にそれぞれが調和しあうまで長時間煮込んである。しかしこの有名なホテルボロブドゥールのソプ・ブン・トゥットゥでさえ、利休のテールスープには適わないと思う。透き通る透明なスープ。シンプルに見えるけど、複雑。これを好む私は、やはり日本人なのだと思う。

話が脱線してしまったが、もとに戻そう。そう、シンガポールの肉骨茶だ。何も考えず、たまに胡椒とニンニクが恋しくなったタイミングで肉骨茶を求めてソンファーに足を運んでいたが、次回その機会が現れたら、今度はチョンバルマーケットでオックステールを買い入れ、自分で作ってみよう。肉から味を出したシンプルなスープだけど、自分で作ったらもう少し深みまで分かるようになる気がする。シンガポールで作るテールスープはどんな味になるのか、それが当面の楽しみだ。

さて、如何でしたでしょうか?昨日ちょうど開高健の短編集、ロマネ・コンティ・一九三五年を読んだため、その影響が過敏に現れた文体になりました。良く言えば感じやすい、悪く言えば芯がない文章ですが、アウトプットを増やして自分のスタイルを確立しようとしている最中ということでこういう寄り道も多めに見てください。そんな試行錯誤も楽しんで頂けたら幸いです。

それでは、また。

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