先日、久々にフルコースのランチに行って参りました。良いレストランに行くと、お料理自体が美味しい事はもちろん、料理の見た目も美しい、料理が乗っているお皿も美しい、その料理を食べる空間のインテリアも素晴らしいし、接客も素晴らしい。客層も素晴らしい。素晴らしい事づくしで、刺激になります。(我が家にとっては)値段が素晴らしい事も良い刺激になりました。
今回はミシュラン2つ星獲得のフレンチレストランOdetteの紹介です。
Odetteについて
今回紹介するOdetteというレストラン。オデッテ?オデット?私のまわりはオデッテと読んでいますが、オデットなんじゃないかと思います。横文字を無理やり日本語で読んでいるので、オデッ(トゥ)位がキザで丁度いいと思います。と言う事で、私はOdetteと書きますが、オデッ(トゥ)と読んで下さい。
所でこのレストラン、アジアのベストなんとかレストラン、世界のベストなんとかレストランには常連で、世界の最新の本格レストランである事は間違いありません。同じく常連のJAANというレストランの料理長だった人が、現在はOdetteの料理長を任されており、まるで食のエリート校のようなレストラン。美術館の中にあるというのもポイント。新しいレストランではあるものの、格式高い雰囲気が漂っています。
Odette
住所 : 1 Saint Andrew’s Road, #01-04, National Gallery, 178957
電話 : 6385 0498
インテリアについて
まず入って驚いたこと。
レストランじゃないみたい。。。
(Odetteオフィシャルホームページより引用)
淡いグレーとベージュを基調としていて、格調や格式にとらわれない、それでも高級感のあるインテリアです。
そしてキッチン。
(Odetteオフィシャルホームページより引用)
全然キッチンじゃないみたい。。。
テーブルと同じインテリアでまとまっておりながら、色々な道具がある様はまるでどこかの研究室のようで、キッチンの中にはお客さんの数よりたくさんのシェフがいました。
そしてキッチンとの境にあるガラス張りのドアは、なんと自動ドアでした。
お料理について
席についたら、紙のような陶器のお皿が置いてありました。持ってみると、なんと陶器。こんなお皿あるんだねぇ。なんて、席についただけで興奮してきます。まだ何もしていないのに。
ところでこの葉っぱ、なんだと思います?
オリーブだと思いますよね?
ブッブー。外れです。正解はなんと、ユーカリなんですと。オシャレですねぇ。
コースは3種類あります。1つ目は4品のコース。2つ目は6品のコースでベジタリアンバージョン。3つ目は6品のコースでノーマルバージョン。今回はノーマルバージョンの6品のコースを頂きました。
まず運ばれてきたのは、こちら。なにやら3個乗っており、これらを素手で頂きます。
素手で味わうというのは、五感で味わうってやつですね。今時な感じがします。
右側のはチーズっぽい味がしました。ものすごい柔らかく、手が震えます。
真ん中のは、、、うーむ分かりません。そして左側のはエンドウ豆と海苔のタルト。お弁当に入っているエンドウ豆と海苔とは全く別ものの不思議な味がします。、、、。味が複雑すぎて何が何だか説明できないので、この際説明は無しにしましょう!!
それでも写真だけだと味気ないので、ほわっと説明していきます。
次に出てきたのはこちら。パンは食べられるけれど、奥側の乾燥したキノコは食べられません。
カップにはもともとフワフワした卵をベースとしたムースのようなものとキノコ類が入っていて、そこにスープを注いで食べます。出来上がった味は、まるで洋風茶椀蒸し。ほのかな酸味があり、ムースの柔らかな触感と相まって、今までになかった食べ物が出来上がっています。キノコのカッティングボードに乗せられていて、見た目にも楽しめます。
そして、こちら。パンがどっさり来ました。バターとラードがついて来るので、選んで食べます。どれも美味しかったのですが、特に右側のパンはトリュフが良く香っていて、とても美味しかったです。
続いて冷たいお皿が運ばれてきます。ホタテとアボカドとイクラのお皿です。なんだか真ん中ばかり空いていて、盛り付けがアンバランスに思えます。
変だなぁと思っていたところ、ウェイターさんが凍ってる粉を真ん中にかけてくれました。煙が出まくっていたので、口に入れるのをためらいましたが、この粉は柚子胡椒の味がしました。ホタテのお刺身を初めてアボカドと一緒に、それも柚子胡椒風味で頂きましたが、元からこの料理が確立されているかのような違和感のなさで、料理が完成されています。
次のお皿は赤いお皿です。シャーベットがメインで、後は食べたことのないものが並んでいました。一つずつ食材を見ながら頭を使っての食事です。これも「五感で食べる」と言う事なのでしょうか。
またまた盛り付けがアンバランスだったので、待っていましたが、今回は何もありませんでした。。。
次はなんだか煙が充満していて、メインディッシュのような演出です。
ちょっとではなく、めちゃくちゃ煙が出てますが、しばらくして煙が去ると、卵が見えてきました!!
これは55度という低温で、ものすごく長い時間をかけてスモークしたオーガニックの卵でございます。スモークには松の木を使っているとの事ですが、周りにはローズマリーが散らばっております。
卵とは別に、手前にはガラスの容器が置かれます。中にはベーコンとポテトが入っています。ガラスの容器の下には乾燥したローズマリーに火が付けられていました。
卵をポトッと入れられた時の安心感。派手な見た目の割に、これが優しい味で、美味しい。そのままパンにつけて朝食として食べたいお料理でした。
この次は、お魚に続きます。
ようやく目に見えて魚と分かる料理が運ばれてきました。シンプルなお皿にシンプルな盛り付けです。上にはカリカリに揚げられたエビが乗っています。
待っていると、ソースをかけに来てくれます。黄色のソースは、ほのかにタイのグリーンカレーのような雰囲気。見た目と味がリンクしている安心感に気が付きます。温かい料理は嬉しいです。
そしてお肉。高級なランチでチキンというのも珍しい気がしますが、そろそろお腹がいっぱいになる頃だったので、ビーフやラムでなくてよかった気もします。これは、普通のチキンではなく、オーガニックチキンだと強調しておられました。
手前と奥で部位が違うので、それぞれのソースで頂きます。
旬のホワイトアスパラガスも甘くて美味しい。サッパリとしたメインのお肉でした。
メインが終わると、ここでとかげのスプーンが運ばれてきます。テーブルの上、これのみ。
なんだか変てこなスプーンだなぁ、これで何を食べるんだろうと思っていたら、小鉢が運ばれてきました。とろろのように見えますが、キュウリのシャーベットです。
そしてデザートが続きます。今度はタルトです。なんだかUFOキャッチャーで掴みたくなるようなデザイン。食べ物というよりも、アメリカのアニメのキャラクターのようです。
これで終わりかと思ったら、またまたスイーツ。
最後にお茶とコーヒーを頂きます。
全て味が複雑すぎて、感想を全くと言って良いほど書けなかったのですが、長かった旅もここでおしまい。お腹いっぱいになりました。
まとめ
さて、以上がOdetteのランチメニューでした。満足度で行ったら120%です。普段ならコストパフォーマンスがどうとか、雰囲気がどうとか、いろいろ書きたいとこなのですが、書こうとして気が付きました。このレストランは(会話をして食事を楽しむという所は一緒なのですが)普段行くレストランとは全く違う体験なのです。
素材の味を生かしているかというと、それは無いです。すべての素材を分解し、それを視覚的にも味覚的にも再度組み立てている感じ。普通、自分たちが考える料理は、素材と言うものを買ってきて、それをなるべく崩さず、どう調理したらいいか工夫する。ですが、Odette(に限らず高級フレンチ)の場合、まず素材を分解し、色々な素材を組み立てていく。結果、ものすごく複雑なものが出来上がる。そうやってできた料理って、美味しいか、美味しくないかでは表せないんです。無理やり言葉で表せば、「体験」という事になりましょうか。「あ、こんな味もあるんだ!」というのが感想です。それを、どこぞのレストランのオマールエビのパスタとどちらが美味しいか比べても意味がないんですね。
人生の豊かさが、新たな体験や経験の回数だとするならば、とてもいい経験が出来ました。
という事で、また高級レストランに行く口実に繋げて終わりにしましょう。
終わり。